【バレエ映画】「ミッドナイトスワン」バレエシーン解説②「白鳥の湖」
いよいよ明日からミッドナイトスワンが映画館で観れます。
タイトルからもわかるとおり、この映画は背景に「白鳥の湖」の物語を感じさせるシーンがいくつもあります。
公開前に三大クラシックバレエのうちの1つの『白鳥の湖』のおさらいをしておきます。
よろしければお付き合いください。
バレエ白鳥の湖のあらすじ
悪魔の呪いで白鳥の姿に変えられたオデット姫と娘たち。
この呪いを解くただ一つの方法は、オデット姫がまだ誰も愛したことのない男性に永遠の愛を誓ってもらうことだった。
ジークフリート王子の21歳の誕生日にオデット姫と王子は出会い愛を誓う。
しかし、王宮の舞踏会が繰り広げられているところへ、悪魔が魔法を使ってオデットに似せた、娘オディールが現われる。王子はオデットとの違いに気づかず、彼女を花嫁として選ぶ。
悪魔に騙され、破られた愛の誓いを嘆くオデット。
そこへ現われた悪魔に王子はかなわぬまでもと跳びかかった。激しい戦いの末、王子は悪魔を討ち破るが、白鳥たちの呪いは解けない。絶望した王子とオデットは湖に身を投げて来世で結ばれる。
ミッドナイトスワンで踊られた白鳥の湖の踊り
1.四羽の白鳥の踊り
ショーパブで凪沙が踊る白鳥の踊りは『四羽の白鳥の踊り』です。
優雅にみえる白鳥達が水中ではせわしなく水かきを掻いて泳ぐ様を表現した踊りです。
コントなどで扱われることもあり、有名な踊りかと思います。
ショーパブで凪沙は赤いシューズで四羽の白鳥(もどき?)踊ります。
本来はタイツと同色のシューズで踊られるその踊り。
シューズの赤がとても印象に残りました。
このシーンだけではなく、凪沙の身に着けるものの「赤」は決意を感じさせる色として映画を彩ります。
2.オデットのヴァリエーション
一果がコンクールで踊る白鳥のお姫様の踊り。『オデットの踊り』
ジークフリート王子との出会いのシーンで踊られるオデット姫の踊りです。
このオデットの踊りは派手な回転などはないのですが、とても難しい踊りです。
手足が長くないとどうしても物足りなくみえてしまう踊り手を選ぶ演目です。
内田監督が一果役に新人の服部樹咲さんを抜擢したのもオデットに見合うからだと感じました。
「オデットは強い意志がないと踊れない」といわれます。
映画の中でこの言葉を思い出しました。
ミッドナイトスワンの中の白鳥の湖
ミットナイトスワンで白鳥の湖は呪いと希望の象徴のようにみえます。
この映画にはジークフリート王子はでてきません。
凪沙は女性ではない身体を抱え、「なんで自分たちだけこんな目にあうんだ」と叫び、もがき苦しみます。まるで呪いによって本来の姿を奪われた白鳥のようです。
それでも白鳥の湖と同様にオデット姫(一果)が白鳥達(凪沙)の一筋の希望になる、そんな物語だと思いました。
ミッドナイトスワンの背景にある白鳥の湖は「白鳥達にかけられた呪いの物語」であり、凪沙の背景にみえる白鳥の湖は「白鳥と人の狭間でもがき足掻き必死に生きる物語」であり、そして「オデット姫に希望を託す物語」なのではないでしょうか。
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